知識と情報

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110319/k10014783351000.html03/19

東北の沿岸を襲った大津波は、自治体などの事前の想定を超え、指定の避難場所に逃げた人でも被害にあったとみられていますが、宮城県七ヶ浜町では、避難場所に逃げた住民およそ50人が、事前の知識とラジオの情報を基に、とっさの判断で避難を続け、難を逃れていたことが分かりました。

仙台市に近い七ヶ浜町は、町の面積のおよそ4分の1が津波で浸水し、町によりますと、19日現在で42人の死亡が確認され、今も37人の行方が分かっていません。町の東部と北部の2つの地区では、宮城県沖地震の想定に基づいて住民みずからが防災マップを作り、地域の高台を避難場所と決めていました。今月11日には、想定を超える大津波で2か所の避難場所が浸水しましたが、このうち花渕浜地区の避難場所だった「同性寺」という寺の駐車場では、避難した住民47人全員が難を逃れていたことが分かりました。駐車場は、高さ3メートル程度の津波であれば安全とされていました。自主防災組織の事務局長の鈴木亨さん(57)は、駐車場まで車で避難する途中、「宮城県沿岸で予想される津波の高さは6メートル」という気象庁の情報をラジオで聞いていました。この情報を聞いた鈴木さんは、駐車場は、もはや安全ではないと判断し、集まった住民を10メートル以上高いところにある墓地に逃がそうと考えました。墓地に通じる道は細くて急な坂道で、歩くと時間がかかります。しかし、駐車場に避難していた人たちは寒さをしのぐために、たまたま、近くの幼稚園のマイクロバスや車に乗っていたため、すぐに逃げることができました。全員で墓地に上がった直後、避難場所だった駐車場に津波が押し寄せたということです。避難した住民の1人、鎌田みゑ子さん(77)は「去年、左足を手術したので、早く歩くことができませんが、おかげで命拾いしました」と話していました。鈴木さんは「防災マップを自分たちで作ったので、避難場所がどのくらいの高さまで津波に耐えられるか記憶していたのがよかった。お年寄りがバスの中にいたという幸運もあったが、自分の判断で、みんなの命が助かったと考えると、足が震える思いだ」と話していました。