「1.17」と「3.11」

http://www.kahoku.co.jp/news/2012/01/20120118t73020.htm01/18



6434人が亡くなった阪神大震災は17日、発生から17年を迎えた。兵庫県内では追悼行事が開かれ、東北から東日本大震災の被災者も参加。二つの地震の発生時刻に合わせて黙とうをささげた。東北各地でも追悼行事が行われ、地域住民らが震災後の支援への感謝とともに犠牲者の冥福を祈った。「1.17」と「3.11」。互いに痛みや思いを知る二つの被災地が、鎮魂とともに復興への道のりを歩んでいくことをあらためて誓う一日となった。



◎灯籠に感謝を込め/石巻


 宮城県石巻市中瀬では震災の犠牲者を悼み灯籠を囲む「追悼の集い」があった。オレンジ色の温かい光が辺りを包む中、参加者はさまざまな思いを胸に鎮魂の祈りをささげた。
 大災害を経験した同じ立場として追悼の気持ちを共有しようと、市民有志が企画。東日本大震災後に地元小学生が願い事などの絵を描いた灯籠500個を並べ「神戸 絆」の文字をかたどった。
 阪神大震災が起きた午前5時46分、神戸市の方角に向かって黙とうをささげた。女川高2年山本堯也君(17)は「昨年3月11日以降、関西圏のボランティアの支援がとても励みになった。黙とうの際は、彼らに感謝の気持ちも込めた」と話した。
 ろうそくの火は、神戸市にあるガス灯「1.17希望の灯(あか)り」の火を分けた「3.11希望の灯り」(陸前高田市)からランタンに付け、前日運んだ。
 企画したNPO法人石巻スポーツ振興サポートセンター」理事長の松村善行さん(68)は「東北も兵庫も、震災で受けた傷はとてつもなく大きい。遠く離れているが、今後も思いを共にしたい」と話した。



◎温かい贈り物/名取


 阪神大震災で被災した神戸市の中華料理店が、震災発生から17年を迎えたこの日、宮城県名取市内の仮設住宅団地を訪れ、被災者に元気になってもらおうと自慢の豚まんを振る舞った。
 炊き出しを行ったのは、神戸市の中華街「南京町」に店を構える「老祥記」など3店。名取市の愛島東部、植松入生の両仮設住宅団地を回り、3店の豚まんがそれぞれ入った3個入りの500セットを無料で配った。
 愛島東部では炊き出し開始の午前11時から、被災者らが列をつくり、寒空の下、熱々の豚まんを口いっぱいに頬張った。
 2人の息子と並んだ主婦遠藤多美子さん(41)は「子どももおいしいと喜んでいる。神戸からの温かい贈り物に感謝したい」と喜んだ。
 炊き出しには、3店が昨年11月に共同で実施した豚まんイベントの売上金を活用した。老祥記店主の曹英生さん(55)は「阪神・淡路大震災から17年の日に、同じ被災者として少しでも役に立ちたかった。喜んでもらえてうれしい」と話した。



希望の灯り囲み黙とう/陸前高田


 岩手県陸前高田市では追悼式が行われ、地元住民らが市の観光施設「気仙大工左官伝承館」の敷地内に集まり、犠牲者の冥福を祈った。
 伝承館敷地内に、阪神大震災を悼む神戸市のガス灯「1.17希望の灯(あか)り」から分灯された「3.11希望の灯り」が昨年12月に設置されてており、地元住民有志らが追悼式を発案した。
 地震が発生した午前5時46分、住民のほか、大船渡高野球部の生徒ら約30人が「3.11希望の灯り」を囲み、黙とうをささげた。
 同校3年で元野球部マネジャーの平野麻依さん(18)は「昨年5月に神戸市の高校などから練習試合の招待を受けた感謝の意味を込めて参加した。同じ被災者として、冥福を祈りたかった」と話した。