原発警戒区域のペットを襲う冬


http://mainichi.jp/select/world/newsinbrief/news/20120131reu00m040002000c.html01/31

世界の雑記帳:原発警戒区域のペットを襲う冬、保護団体「全て家族に返したい」


東日本大震災が引き起こした福島第1原子力発電所の事故以降、立ち入りが禁止されている半径20キロの警戒区域には多くのペットが置き去りにされている。高い放射線にさらされ、餌もない上、凍える冬が追い打ちをかける。


 京都府に本部を置く「UKC JAPAN」代表を務める細康徳さんは、警戒区域から助け出した約350匹のペットを保護している。「このまま放っておいたら、一日一日、何十頭と死んでいく。餌を食べないとだんだん衰弱していずれは死ぬことになる」と話した。


 政府は昨年12月、本格的な冬が到来する前にペットを保護するため、動物保護団体に対して警戒区域への一時的な立ち入りを許可。しかし、細さんはまだ多くのペットが取り残されたままだとし、「給餌だけにでも警戒区域に入らせてもらいたい」と訴えた。


 同原発でエンジニアとして働いている赤間徹さんは、家が警戒区域にあるため、自分が飼っていた14匹の犬の保護を細さんに依頼。「犬も家族の一員なので、見捨てるわけにはいかなかった。保護してもらえて嬉しかった」と感謝の言葉を口にした。


 福島第1原発事故を受け、周辺住民は避難を余儀なくされ、飼っていたペットも置き去りにせざるを得なかったのが現状。細さんは、残されたペット全てを飼い主のもとに返したいとし、「(家族のもとに帰ると)犬は喜ぶ。その姿を見ると、家族のもとに全て返すまでやりとげないといけないと思う」と力強く語った。