性的少数者の子に配慮求める通知


http://www.asahi.com/articles/ASH4X6QG9H4XUTIL04Q.html 04/30

性的少数者の子に配慮求める通知 文科省、対象範囲拡大



文部科学省は30日、同性愛や性同一性障害などを含む性的少数者の子どもについて、配慮を求める通知を全国の国公私立の小中高校などに出した。これまでは法律上の定義がある性同一性障害者に限られたが、それ以外の性的少数者についても国として学校に対応を求めたのは初めて。


 文科省性同一性障害について、対応を徹底する「事務連絡」を2010年に学校に出している。今回は同性愛や両性愛なども「いじめ被害や不登校、自殺にもつながりかねない」(担当者)として範囲を広げた。


 通知では、子どもが相談しやすくするために、教員が性的少数者についての心ない言動を慎むことや、子どもの服装や髪形について否定したり、からかったりしないよう明記した。


 その前提として、いじめや差別を許さない「人権教育」の推進を促した。性的少数者に対するいじめが無くなるよう、ホームルームや道徳の授業で性的少数者への差別について考えるといった授業例を教員研修などで伝えるという。


 性同一性障害の子への配慮事項も具体的に盛り込んだ。学校での支援策として、「児童生徒が自認する性別の制服を認める」「修学旅行で入浴時間をずらす」などを例示。卒業後に戸籍上の性別を変えるケースもあることから、卒業証明書に変更後の性別を書くことや、子どもや保護者が相談できるよう専門家からなる「サポートチーム」をつくることも示した。


 その際、性別への違和感の度合いが人によって違うことを踏まえ、診断がない場合も含め、子どもや保護者の意向を聞きながら柔軟に支援することも盛り込んだ。


 文科省は当初、これらの内容を「参考資料」として配る方針だったが、全ての学校に対応を徹底させるため、影響力の強い「通知」の形にまとめ直した。(高浜行人)