ナタリーPower Push

堀江由衣 (1/3) - 音楽ナタリー 特集・インタビュー01/17

堀江由衣の2012年第1弾シングル「Coloring」が完成した。表題曲「Coloring」は、ほっちゃん自身も声優として参加しているアニメ「パパのいうことを聞きなさい!」のエンディングテーマ。テクノポップ風のキャッチーなサウンドが印象的な、文字どおりのカラフルなナンバーだ。


今回の特集では、この新作「Coloring」の魅力を探るインタビューに加え、ほっちゃんの2011年を振り返る「ほっちゃん 5大ニュース」と、新年の目標を訊いた「ほっちゃん 2012年の野望」を併せて掲載している。

Coloring(初回限定盤)(DVD付)

Coloring(初回限定盤)(DVD付)


かわいいテクノポップ「Coloring」


──今回のシングル曲「Coloring」はアニメ「パパのいうことを聞きなさい!」のエンディングテーマに起用されましたが、この曲は元々アニメのタイアップが先にあって制作された曲なんですか?


実は違うんですよ。元々は次のアルバム(2月22日発売の8thアルバム「秘密」)用に曲を準備していたときにこの曲のデモがあって。アルバムはタイトルも「秘密」だし、コンセプト的にもどっちかと言うと謎めいたイメージだったので、大好きな曲だけど「今回は違うかなー」と思って取っておいた曲だったんですね。その後に「パパ聞き!」のお話をいただいて、ふと「あの曲、アニメの世界観に合うんじゃないかな」と思って、私から監督さんやスタッフさんに提案させていただきました。


──お気に入りの曲としてストックされていたんですね。


そうですね。かわいい曲だなーと思ってて。でも「アルバムには合わないかな」って分けてたのに、結局アルバムには入るんですよ(笑)。


──テクノポップなサウンドやレトロフューチャー感覚のビジュアルなど、2008年秋リリースのシングル「バニラソルト」にも近い雰囲気ですよね。こういったテクノポップ路線は好きなジャンルなのでしょうか。


基本的に好きなんだと思います、はい。「今回はテクノポップで行こう」と意識してたわけじゃないんですけど、たくさんあったデモの中でもかわいくて、目立ってたんですよね。


──アニメの世界観を踏まえて選ばれたということですが、「パパのいうことを聞きなさい!」はどういうお話なんですか?


基本はほのぼのコメディなんですが、途中シリアスな展開もあったりして、結果的に家族愛が描かれています。年頃の女の子たちと大学生の男の子の同居生活が題材だから「私がお風呂に入っている間は近付かないで!」とか(笑)、そんなドタバタもあるんですけど、「いってきます」「おかえりなさい」「いただきます」が言える相手がいることはなんて素晴らしいんだろう、という幸せや癒しが根底には描かれていると思います。


──作詞など具体的なイメージを固めるときは、その世界観を意識して?


いえ、実はデモにあった歌詞とほとんど変わってなくて。キーになってくる「くるくる回る」や「イチゴミルク」といったフレーズの端々に、主人公と女の子たちがキャッキャと暮らしてるドタバタのイメージやフレッシュな感じが出ているので、そのまま残したいなと。ちょっとだけ変えていただいた程度ですね。

ユアちゃん、ユイちゃん、ユウちゃん、ユエちゃんの4人組


──ジャケットでは、これまた「バニラソルト」のときの1人3役に続き、カラーの異なる1人4役に挑戦されていますね。


「バニラソルト」はアニメ「とらドラ!」のテーマ曲で、あの作品にはヒロインが3人いたので3人組にしてみたんですけど、今回はヒロインの3姉妹に私が演じている莱香さん(主人公・瀬川祐太の先輩、織田莱香)を加えた女子4人組みたいなイメージで。ちょっとピコピコ系の曲ってことで、近未来的な雰囲気というか、お人形さんテイストを意識したジャケットになっています。


──近未来の表現は、サイバーな感じというよりは、1960年代のレトロフューチャーのイメージ?


そうですね、まさに。60年代のテイストがハマりそうだなと思ったので、スタイリストさんに相談して。それぞれのイメージカラーを伝えて「60年代風の衣装でお願いします」と伝えました。


──ブログに撮影風景をアップされてましたけど、こういう撮影は楽しそうですよね。


うふふふ(笑)。でも大変でしたよ! 1日で4パターン全部撮ったんですけど、髪型とかも全部変えてるので、単純に4人分撮影することになりますからね。時間的にも技術的にも大変で。あと、ブックレットにある写真の……この(テーブルに手をかけて傾いた状態)姿勢で長時間がんばるみたいな(笑)。


──これ、自力で傾いてるんですね(笑)。


自力です(笑)。お人形さんテイストを意識したので、カクカクした感じを出したくて。


──ジャケットの表ではまっすぐ立った4人の姿しか見られませんが、中を開くとさらにいろんなパターンの写真があるんですね。


お人形さんの……なんかこう、雑に置かれた感じを出してみました(笑)。


──4つの中でどの衣装が特にお気に入りですか?


うーん。どれかひとつ挙げるとしたら、緑の衣装かな。帽子がすごくかわいかったので。この帽子、60年代のビンテージだそうなんですよ。うわ高そうみたいな(笑)。変わった形なんですけど、品があってかわいくて。


──ちなみに、この4人にはそれぞれキャラクター、性格付けはあるんですか?


あー、そこまではないんですけど、一応いとこっていう設定です。いとこを3人連れてきました(笑)。名前は「ユアちゃん」「ユウちゃん」「ユエちゃん」で、それとユイちゃん。雑な付け方ですけど(笑)。

アルバムはみんなが共有できる“秘密”がテーマ ─


─カップリング曲「モノクローム」は、タイトルから既に表題曲と対になっているというユニークな構成ですが、これはやっぱり「Coloring」と表裏一体のものとして作られたのでしょうか。


そうですね。半分ぐらい思いつきなんですけど(笑)、同じ4人が歌っていることにしたくて、同じような声の加工をかけてもらったりして。曲調が「Coloring」よりもテンポが早くてカッコいい感じだったので、ハマるものはないかなーと思ったときに、単純に「Coloring」のカラフルなイメージに対して「あ、白黒で行こう」って。


──シングルもこのような構成ですし、次に出るアルバムも「秘密」という非常に謎めいたタイトルが付けられていることから、ファンの皆さんは今まさに想像をふくらませてワクワクしているんじゃないかと思います。「どんな仕掛けが待っているんだろう?」と。


そんなに「仕掛けてやろう!」と思ってるわけじゃないですけど(笑)、楽しめるものにしたいなとは思いますね。今回のシングルもこうやって4人組になって、PVの撮影が終わったら夜中の3時半みたいな(笑)、そんな大変なこともいっぱいあるんですけど、その分の何かが楽しさとなって皆さんに届いたらいいなと思っています。


──アルバム「秘密」は来月2月22日発売ということで、まだまだ文字どおり“秘密”な部分も多いですが、どのような作品になっているのか、何かヒントをいただけますか?


作家さんにお願いするとき、最初から「『秘密』というタイトルのアルバムを作っている」ということを伝えてからお願いしてるんです、今回は。


──「秘密」というキーワードありきで楽曲作りが始まっているんですね。


はい。歌詞は特にそうですね。みんなに当てはまる、共有できる“秘密”というか。聴いていただく方の心のどこかにきっと隠れている秘密の共有ができるんじゃないかなーって。ただ、表題曲の「秘密」はものすごくパワフルな、かなり意表を突く曲になっていると思うので、そちらもそちらで楽しんでいただけるかなと思ってます。

学芸会みたいなことをやるのが好きで


──アルバム発売後、3月には全国ツアー「堀江由衣をめぐる冒険III 〜Secret Mission Tour〜」が控えていますが、ワンマンライブ自体久しぶりですよね?


去年は2月にファンクラブのライブがあって、それ以来ですね。9月20日の誕生日にもファンクラブイベントがあったんですけど、そのときはじゃんけんだったので。


──じゃんけん? 確かその日は……。


はい。裏で大きなじゃんけん大会が行われている中(笑)、こっちは別のじゃんけん大会を開いていたっていう。


──ツアーとしては今回が3度目で、2006年の「堀江由衣をめぐる冒険」以来ということになります。準備はこれからだとは思いますが、すでに決まっているアイデアなどはありますか?


今までのライブは、わりとコンセプチュアルな作りが多くて。カッコよく言うとコンセプチュアルですけど……学芸会みたいなことをやるのが好きで(笑)。


──2009年の日本武道館2DAYS(「堀江由衣をめぐる冒険II〜武道館で舞踏会〜 Q&A」)は、その“学芸会”のノリを最大限にふくらませたような、盛りだくさんの2日間でしたよね。両日通った人にもより楽しめる設定が用意されていたり。


いつもは1年ぐらい前から「今度はこういう物語にしたいな」「こんな組み立て方にしたいな」というのが漠然とあるんですけど、今回は今の段階で全くなくて、「ヤバい!」って思ってるところです(笑)。せっかくのツアーなので、ツアーでやる意味のある内容にしたいなとは思っています。


つづきはこちら
堀江由衣 (3/3) - 音楽ナタリー 特集・インタビュー